2006年01月02日

 企画力は、空中にある目に見えないATM機からお金を引き出すことのできるカードのようなもの。著者阪本さんのコトバはいつもイメージが湧いてくる。

 14年前ソフトウェア開発会社で働きはじめた僕は、5年ほど前から「開発屋」としてよりも「企画屋」として生きていきたい、と考えるようになっていた。これまでに大小いくつもの企画をねり、社内で実践してきたが、今ふりかえっても「よっしゃ!」と満足いくものはせいぜい3つ程度。今後も、もっと量を増やして「代表作」を増やしていくつもりだ。

 そんな「企画屋」指向の僕にとっては、この『企画力』は心にたくさんひっかかる箇所があった。特に気になった3箇所を以下でご紹介。

●企画の主語は「自分」
 すべての企画の出発点は、君の「おもい」だ。「思い」でも、「想い」でも、当てる漢字は何でもいい。
 「わしはこうしたい!」
 「世の中にこれをアピールするのだ!」
というおもい。魂と呼んでもいい。
 (中略)
 よくある議論は「ニーズ(needs)」か「ウォンツ(wants)」か、というものだ。結論を先にいる。主語が企画する君自身なら、両方とも必要だ。主語が君自身以外のだれかなら、両方とも無意味だ。
 誰かのための企画であっても、一番最初に熱狂させるべきは自分だ。「アンケートによれば…」なんて話は他人を巻き込むときには有効かもしれないが、まずは自らを納得させられるかどうかを考えてみよう。

●QOLを上げてこそ企画
 企画のゴールをQOL(生活品質)向上としよう。ほんの1ミリでもいい。企画で実現する価値が、生活者・顧客のQOL向上に役立つものにしよう。
 「それで何が変わるの?」に答えられないといけない。「今のままじゃ何がまずいの?」という問いに青臭い答えでもいいから返していこう。言葉を探すことでおもいが固まっていくことだってある。

●「なんじゃこりゃ?」でいけ!
 企画品質を簡単に見る方法がある。企画を目にした人が「ナントカみたい」と言った途端、アウトだ。「なんじゃこりゃ?」と当惑したら、きっとその企画はとても良い出来映えのはず。世界でたった一つのオリジナル。君の企画は、Only One でなくてはならない。
 当惑顔を歓迎しよう。変人と呼ばれることを喜ぼう。その道こそがきっと成功へつづく道。


 本書には、他にも気になるフレーズがたくさん散りばめられている。以下、僕のフィルタにひっかかったフレーズたち。

・企画は通すためにあるのではない。君のおもいを世界に向けて発信するためにあるのだ。
・「サプライズ!」を。企画を聞いた人が、企画書を読んだ人が「アッ」と驚く仕掛けを考えよう。
・企画育てに必要なのは、「この企画を実現するのに、やらなくてもいいこと」がはっきりわかることだ。
・企画している当の本人である君が楽しくて楽しくて仕方がなければ、大成功するし、逆なら、見るも無残な結果になる。
・良い企画は企画した人の身体からにじみ出る、論理を超えた感情から生まれるものだ。
・企画を作ったら、物語も一緒に考えよう。相手に売り込むためには、物語が大切である。

 2006年1月の読書は「企画」をテーマに進めていくつもり。本棚に積んである企画本、これまで読んだ企画本のなかからよさげなものをピックアップしていくので、乞うご期待!


企画心
阪本 啓一著


追伸:
 巻末の「企画品質チェックリスト」はココロに刺さるものがある。今後、企画を思いついた際には常にチェックしてみよう。

■企画品質チェックリスト16
1 愛があるか?
2 美しいか?
3 世界を変えるか?
4 あなたが惚れて、24時間取り組めるか?
5 迷いはないか?
6 物語が流れ出てくるか?
7 見てわかるか?
8 聞いてわかるか?
9 おふくろさんにわかってもらえるか?
10 子どもに誇れるか?
11 デザインを意識しているか?
12 名前(ネーミング)は気に入っているか?
13 デジャ・ヴ感はないか?
14 いい「空気」を持っているか?
15 シンプルか?
16 君の代表作と言えるか?

もうひとつ「五感を磨くためのチェックリスト」も、A5ノートに装備してチェックしていくことにする。

at 14:15│コメント(0)トラックバック(1)感情本・人間本 │

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1. 「企画心」  [ 月灯りの舞 ]   2006年05月05日 00:43
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